フリー〜からお金を生み出す新戦略
- 作者: クリス・アンダーソン,小林弘人,高橋則明
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2009/11/21
- メディア: ハードカバー
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こいつは良かった。
「ロングテール」という言葉を世に送り出した、米『ワイヤード』誌編集長クリス・アンダーソンの最新著書。
ロングテール同様、Web業界での話に終始するかと思ったが違った。
そんな狭い次元の話では無かった。
「髭剃りの柄を無料で配って替刃を売る」というビジネスモデルに代表される様々な「商品を無料で提供する」というビジネスの歴史と形態、「無料(又は相当な安価)」が消費者に与える影響を取り上げた経済心理学、そしてもちろんテクノロジーの進歩がもたらしたWeb上でのFREE・・・。FREE にまつわるビジネスを様々な角度からわかりやすく解説した経済書。今後のWebは勿論、ビジネスや経済に関わる人には必読の書でしょう。
この本全体で貫かれている思想は、
『稀少性と潤沢性』。
テクノロジーの進歩が希少だったトランジスタを潤沢なものとし、複製する限界費用がほぼゼロであるビットがFREE(自由と無料の2つの意味を持つ)で流通してゆく中で、音楽やソフトウェアが(海賊版としても)無料で出まわることは、FREEの万有引力に従う自然な動きであると説く。情報は FREEに向かい、既存のビジネスは新たな収益モデルへの移行を余儀なくされる。
稀少なものが潤沢になりFREEに向かう一方で、潤沢性の中に稀少性となる価値を掘り起こすことによる新たなビジネスもまた生まれている(一番わかり易いのはミネラルウォーター)。
そしてまた、話は非貨幣経済、評判や信用といった金銭ではないものが、時に報酬として(PVやはてなブックマークが増えることにユーザーは喜びを感じる)、或いは広告的な価値として(市場が求めている情報を迅速に得られる)といった貨幣価値で計測が困難な価値を生み出している点にも言及する。
(寧ろこれなくしてFREE経済は語れないと言ってもいい)
これらの「現象」は今実際に進行形で起こっていることであり、未だ過渡期にある。
今後まだ変化し新たなモデルが生まれてくることも大いにあるし、著者の主張が全て正しいかと言うと懐疑的ではある(成功事例が「法則」とは言えないだろう)が、一つ間違いなく言えることは、これからのビジネスを、『FREE』抜きに考えることは出来ないと言うことだ。
書き尽くせないな。
読んでみてください。
(自分の語彙と表現力の弱さを棚上げw)
じゃ。
ロングテール(アップデート版)―「売れない商品」を宝の山に変える新戦略 (ハヤカワ新書juice)
- 作者: クリスアンダーソン,Chris Anderson,篠森ゆりこ
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/07
- メディア: 単行本
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