サマーウォーズ

サマーウォーズ [DVD]

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金曜ロードショーで始めて見た。
良かったねぇ。

近未来の設定でありながら、舞台は親戚一同が会するド田舎、デジタルの世界での事件に挑む人間同士の繋がりを描く世界観。芸術家ってスゴいな。


まぁストーリー展開と人間臭い場面への言及は避けておくとして。



秀逸なのはその設定。
デジタル情報革命によって、現実の情報がほぼ全てデジタルデータによって管理された近未来。
冒頭のOZの説明で一気に引き込まれる。コレは面白そう!
そのWebサービスの末端運用を世界中のエンジニアがどこにいても行える。その中にはアマチュアのアルバイトもいて、デジタルネイティブの若くてコンピュータエンジニアリングの素養を持った者が、そんな業務の中でスキルを磨いていく。。
来たるべき近未来ではないか!ワクワクだねぇ。


現実のデジタルデータ、そしてその権限までも、一つの機関が一元管理なんてことは、まぁ起こるべくもない状況ではあるが、どこぞの天才ハッカーが世界的なWebサービスをハッキングしたとき、また大規模な情報をごく少数の者の手で管理されるような仕組みの中で、一体何が起こるかわからない、という警鐘も鳴らしているのかもしれない。この映画の製作時期を鑑みると、そのモチーフは「世界中の情報を整理し尽くす」ことをミッションとするGoogle、今で言うなら5億人を超えるユーザー数を誇るFacebookであろうか。そしてもちろん、映画の設定通り、大国の軍事・諜報機関とかね。


バーチャルの世界での出来事がより現実への影響度を増している。これは昨今のソーシャル系Webサービスの流れであり、また素晴らしい点でもあるのだが、近い将来、バーチャルの世界がこの映画で描かれているまでに現実に密接に繋がっている状況は今後ドンドン加速していく。
梅田望夫氏はその著書『ウェブ時代をゆく』で、知と情報が溢れるネット空間を(経済的な意味合いを強く込めて)「もう一つの地球」と表現したが、もはやもう一つどころか、「水面下の地球」のような位置づけになりつつあるのだ。


この映画で描かれていることは、決してSFなんかじゃない。いや、現実がSFに近づいている、と言ってもいいかもしれない。近い将来に現実になりうる社会であること。現実に起こりうる問題であること。デジタル情報革命の恩恵を享受し、かつ安全な社会を持続させていくことも、これからのIT業界の問題であるだろうし、また、個人個人が気をつけなければ問題でもあるんだろうね.


蛇足だが、事件を起こした人工知能を「ハッキングAI」ではなく「クラッキングAI」と表現して欲しかった。。科学は使いようだね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%83%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0


ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

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