考える葦
まず質問。
インターネット普及でヒトはバカになったと思うか?
あなたは、この問いにどう答えますか。
興味深い記事を見つけた。
iPad、グーグル、ツイッターでヒトは本当に馬鹿になりつつあるのか〜米国の著名テクノロジー思想家ニコラス・カーが語る“ネット脳”の恐ろしさ
筆者は、最近『THE SHALLOWS(浅瀬)』(邦題『ネット・バカ』青土社刊)という本を著した米国のテクノロジー思想家。
この文章における彼の主張はザックリ2点。
(1)ネット媒体による情報収集は、注意散漫になる傾向にある。
(2)覚えることと考えることは異なるプロセスだ。
(1)について。筆者の言及。
インターネットをどのように活用するのがベストであるか分かっている大人でさえも、くだらない情報、重要でない情報であってもたくさんの新情報を探し続けられるということに、われを忘れてしまう。重要なことに注意を払わなくなってしまうのだ。
うーん、思い当たる節が。。w それをどれだけ消化・吸収出来ているのか。。
加えて、情報や知識を探す場合、数少ない中からじっくり読み解くよりも、膨大な中から簡潔でわかりやすい情報を選び出すことを無意識にやっていることに気づく。合理的ではあるが、ちゃんと理解しているか否か。まぁ善し悪しは別として。
(2)について。筆者の言及。
もし脳の中に何もなければ、何も考えることはない。情報は即見つけられるかもしれないが、その情報について複雑な思考や概念的な思考を持つことはない。
(中略)
多くのことを覚えないで、考えたり、クリエイティブになったりすることはできない。
仰る通り。
インターネットの普及によって、わからないこと、知りたい情報をすぐに調べることが出来るようになった。ネットのない生活や経済活動はもはや成り立たない。ネットがあれば知識を貯めこむ必要は無い、という人もいるらしいが、では素人が明日から弁護士になれるのか。高度な政治的又は経営的判断ができるのか。世の中の動きを理解できるのか。そういうことだ。
知識は思考するために必要不可欠な材料。そして、思考することはほかの誰でも無く自分にしか出来ない行為だ。
しかし、ネットの海に飛び込むと、思考することすら自分の代わりにやってくれる。
ネットはインタラクティブ(双方向)なメディアだ。いわゆるWeb2.0という「革命」の後、広大なネットの海に対し、誰でも自由に発言・発信が出来るようになった。日々のニュースや世の中の動き、著名人の言動や友人のブログなどに対して、誰でも自由に意見や考えを述べることができ、しかも(多くの場合)それを誰でも閲覧できる。
ニュースサイトや有名ブログのコメント、ソーシャルブックマーク、2ch(まとめサイトの整備が画期的だった)、twitter等、多くの意見の中から自分の納得のいくものを収集することで、さも自分が思考して得た意見であるかのように錯覚し得るのではないだろうか。
ウェブ上に情報が溢れる現在、確かに情報の稀少価値は以前よりも小さくなっているのだろう。ただ単に「知っている」ということは、価値にならない。持っている情報・知識を如何に活用するのか。今なお続く情報革命の果て、『学習の高速道路』の先に続く大渋滞や、高速道路を降りた『獣道』を生き抜くのに必要な力は、やはり思考する能力なのだろう。
上記の記事の筆者も、自身がインターネットを長時間利用していること、アナログだったものがデジタル化・オンライン化していくことが価値の高い不可逆的な変化であることを認めている。そして、こうも述べている。
ただ、だからといってグーグルによって「馬鹿」(stupid)になっているかと言うと、その言葉を使うことには私も慎重だ。
(中略)
英語の原題は、「The Shallows」だが、「馬鹿」というよりも人を「shallow(浅薄)」にする。
冒頭の問いに自分が回答するなら以下のようになる。
「インターネットの利用方法を謝れば、空っぽの頭でっかち(=バカ?)な人間に成り得る。(し、実際にもうなっている人もいるのだろう。大学生のレポート…。)でもやっぱり恩恵の方が大きいかな。」
(例によって曖昧な回答だが、白黒極端に走るのはキライなんでね。)
ネット上には、玉石混交多くの『思考の産物』が転がっている。
それを『知識』として取り入れながら、時に深く、時に広く、思考していくこと。
ネットの活用方法を誤ってはならない。
じゃ。
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えぇ、どっちも読んだことありませんがなにか?