科学技術立国ニッポンの未来を憂う

連日、ニュース・新聞を賑わせている、事業仕分け*1

今回話題になっているのは、その仕分け作業を全て公開しているということだ。*2


ネット中継の回線がしょぼいとか、仕分け人の選定が問題とか、
財務省の事業にも切り込めとか、議論の時間が短いとか、方々から問題点が挙がっているし、*3
メディアは絵になる論戦ばかりを報じるから、ぶっちゃけ実態が見えにくいな〜とも思うのだが、
行革推進のため(本来これが目的だとか)、こうして一般に公開すること、新たな試みに着手することは、
基本的には大賛成です。



ただ…

久々に日経の夕刊を目にして愕然としました。


【事業仕分け】最先端科学も“敗北” 「スパコン世界一」を否定


「(コンピューター性能で)世界一を目指す理由は何か。2位ではだめなのか」だって???

まだ官僚の方がまともな感覚を持っているようだ。

技術立国ニッポンのアイデンティティを揺るがす発言、国策を担う行刷メンバーの考えが理解できない。



「世界一」という肩書きに意義があるのではない。

新たなテクノロジのための研究・開発が、その裾野に波及効果をもたらす。

新たな技術は社会に新たな価値を生み、新たな産業を育成し、雇用創出、経済効果をもたらす。



ケネディ大統領が推進した人類の月面到達を目的としたアポロ計画

これによるNASAの技術革新、宇宙開発や物性研究の推進、全世界から注目され一斉中継された経済効果…

NASAの開発した保温素材はスポーツウェアや防寒着として世に出回っているし、
スピード水着のパイオニアSPEEDO社の技術責任者は確かNASA出身の技術者だった。

大規模な予算により行われたアポロ計画による波及効果は計り知れない。


万人の目にわかりやすいアポロ計画と比較すると、スパコン開発はわかりにくいかもしれないが、
それほどの技術革新をもたらす分野、しかも日本の国力を担う分野でもある。



政治的な話をすると以上のようなものだが、技術革新への探求は知的生物の性だろう。

人類の進化の抑制だ。

歩みをとめた時点で後退が始まる。

民間企業が賄えない長期的ビジョンのための施策が政府の仕事の一つのはず。。。



未来への投資を削り、目先の消費者支援にばら撒かれる財源。

膨らむ借金。

この国に未来はあるのか…。






今回廃止された事業でも、その恩恵に与ってた国民って多くはなくても存在したはずなんです。

資金を受けていた団体も全部が全部天下り先じゃないだろうし、真面目に働いてる職員もいるはず。

だから無駄削減というよりは、優先事項の選定。

そういう認識ではいるんだけど、その基準がわからない。

難しい問題ですけどね。



ただ、詳しくは知らないが、この決定に拘束力は無いらしいので、
ぜひ、科学技術振興に財源を振ってもらいたいもんだね。
財務省が決めるの?




もう一度書いときますが、今回の事業仕分けの取り組みは概ね大賛成です。

地方交付税の見直しにはビックリしたが、新たな仕組みを考えるという位置に立って、
議論するのは有意義だと思います。
(さすがに撤廃だと地方財源はとんでもないことになる。。。)


新しいことがあるときに、問題や批判があるのは仕方ない。

そういう声にも耳を傾け、事業仕分けの目的である行政改革に邁進してほしいですね。
ところで・・・行政改革って具体的にどういうこっちゃ。。