Webサービスのビジネス 〜Freemium〜

ビジネスの話をしよう。


学生の頃はあんなに興味があった「経営」や「ビジネス」という分野だが、
仕事を始めてテクノロジーの魅力を知ってからはサッパリ興味を失いつつある。
学生の時に買って、読まないままの本も何冊か。
多分もう読まないんじゃないかな。。


しかし、この世界で生きていく上では、無頓着ではいられない、
いてはいけない話だ。


Webの世界のビジネスモデル。
中でも今日は"Webサービス"に話を絞ってみる。
Webによって、実態のある"商品"を提供するのではなく、
アプリケーションによる"サービス"を提供するものを対象とする。


よって、Amazon楽天等のECサイトは対象としない。
AppStoreが提供するiPhone向けアプリケーション等も、微妙だが対象外とする。
だって、話がまとまんなくなるんだもの。。w



Webサービスによるビジネスの先駆けは言うまでもなく、Googleだ。


スタンフォード大学博士課程の研究プロジェクトとして始まった検索エンジンでもって、
98年にカリフォルニアのアパートで創業。
ITバブルの崩壊を経て、2004年NASDAQに株式公開。
2007年には時価総額10兆円を超え、今なお進化するシリコンバレーの寵児である。


彼らの作った消費者非負担型の広告ビジネスは、
世界中の人々が情報を入手するためインフラとして広く浸透した。
日本語で検索することを「ググる」というが、
英語でもこれと同義の「google」という動詞を生むほど、
人々の生活を変え、また広範な経済圏を構築した。


ここでの最大のキーワードは「消費者非負担」という点である。
このことが、誰でも際限なく利用できる土壌を作り、新たなビジネス、経済圏を生んだのである。



だがしかし、その「消費者非負担」ということが、ビジネスを難しくしたことも事実。



まずは消費者負担型ビジネスの難航だ。


NHK、番組ネット配信低迷 収入「想定の半分以下」


NHKのテレビ番組をネットで有料配信するNHKオンデマンドだが、
見出しの通り立ち行かなくなっていると。
オレは見たことないけど、やり方が古いとかで、
ホリエモン氏がブログだかtwitterだかでぼやいていたw
まぁでもこれはビジネスモデルの問題なのか、
そもそもNHKの番組の問題なのかわかりにくいやねw


しかしこんな調査結果もある。
有料着うた・フルの利用率は4人に1人、課金を使わない人は3人に1人……ケータイ有料サイトの利用事情


記事なんか読まなくていいのでグラフだけ見てほしい。
有料・課金サイトを利用しない、と答える層が最も多いことに気が向くはずだ。
しかし逆に、有料・課金サイトを使う人も少なからず存在する、とも言える。



次に消費者非負担型ビジネスについて考える。
最もポピュラーなものは広告ビジネスだ。


Googlemixiアメブロ等のブログサービス、2ch等の掲示板、多くのニュースサイトなど枚挙に暇がない、
画面内の広告をクリックすることで課金される、成果報酬型のビジネスである。
費用対効果が非常に高く可視的であるため、
広告を出す側としてのメリットは高く今後も増えることが予想されるが、
ユーザの利便性が損なわれる場合がある点で忌避する提供サイトも多く、
(もちろんユーザが恩恵を受ける場合もある。検索エンジンなんかは便利ね。)
また、広告表示サイト(企業)に余程のブランド力、視聴数が無いと収益が上げにくいというモデルでもある。
広告代理店も多くが価格競争を強いられる。サービスを差別化しづらいためだ。
ECサイトAPIを用いたサイトやアフィリエイトもこの部類だが、個人的に一概に括りたくないw)



サイトの広告料、ブランド力が構築されるまでに時間がかかるため、
ネットベンチャーが育ち切れず、事業売却する例は記憶に新しい。


月100万PVの“音ゲー”サイト、譲渡先をヤフオクで募集 「マネタイズの方法分からなかった」


マネタイズというのは事業の収益化のことだが、無料で提供するからこその事業化の難しさがある。


しかし、この記事読んだときに興味惹かれたのは、ヤフオクに事業を出品したってとこだよねw
ちなみに落札した会社に単純に売り渡すのではなく、事業内容の協議をした上で売却したと。
オレが見たヤフオク出品事業はふたつほどあったが面白かったのは、
どちらも落札額が2番目の企業に事業譲渡したことだ。



さて、こんな難しいWebサービス事業であるが、新たなビジネスモデルが今注目を集めている。
フリーミアムだ。



最も成功を収めているところで言うと、Greeの無料ゲーム、そして、"はてな"なんかもこのモデルだろう。
お気づきだろうか。
このブログに(オレがエントリ内で張るリンクを除いて)広告が全く無いことを。


Greeのビジネスモデルは広告による収入ではない(らしい。やったことないから知らんけどw)
無料ゲームとはいうものの、標準よりもグレードの高いアイテムや、
アバター(キャラクター)のためのアイテムに課金しているわけ。
それを購入しなくてもユーザは遊べるけど、何人かの人はそれを購入する。
これで事業が成り立っているわけだ。


はてなの提供するブログサービスも基本的には無料。
ただし、動画ファイルを投稿したり、アクセス解析をしたりといった拡張機能を使うには、
有料プランへの加入が必要となる。
ちなみにアメブロはこの辺もたしか無料だ!w


この、
大多数のユーザにはサービスを無料で提供し、
一部のユーザに拡張機能を有償で提供することで全体として収益を上げる
というビジネスモデルが、フリーミアムだ。


なぜこのようなことが可能なのか。
それはデジタルデータは複製配布コストがほぼゼロだからである。
まぁ人件費だけ、ってことだなw


例えば居酒屋で、
「ビールだけ有料ね。あとは食いもん全部タダ!」
なんて商売やっても成立しない。超プレミアムビールにしないと。
それは居酒屋の出してる商品は作れば作るほど(単価は安くなるけど)材料コストが確実に発生するからだ。


しかし、デジタルデータ、例えばあるゲームを開発すると、
それをユーザに配布する分にはそれをコピーするだけ。
開発環境とデータを保存するためのリソース(十分な容量のサーバかクラウドサービスの利用)があれば、
(これは居酒屋で言うところの厨房にあたるな)
理論的にはいくらでも複製・配布が可能なのである。


あとは何をどう有償にするかで、収益を上げる仕組みを作ればよい。
それがまた難題であり生命線ではあろうが。




フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略

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参考サイト
FREEMIUM.jp




これからこの世界でどんなビジネスモデルが生まれていくのだろう。


新たなビジネスモデルが古いビジネスモデルを淘汰することは、
新聞・テレビ等の古いメディアの収益低下を見れば明らかだ。


新しい波に乗ること、新しいビジネスを生み出すことが肝要。
古いものに固執していてはいずれ淘汰される。





ビジネス、という収益を上げるための考え方とは別に、
Webの世界(という括りでいいよな?)ではオープンソース的な考え方もある。
ソフト開発で言えばLinuxに代表される無償OSや、Rubyに代表される無償プログラム言語、
Webサービスで言えばWikipedia2chヤフー知恵袋等の人力検索等だ。

これは気が向いたらまた後日。
多分向かないと思うな〜。。
今回のエントリは自分自身いい学習になったけど、とっても不毛な気分。。w