「モラル」よりも「リテラシー」を
東北地方太平洋沖地震から10日。
今回の震災で強く感じたことの一つが、ICT(情報通信技術)のポテンシャルと、それを扱う力(ウェブリテラシー、情報リテラシー)の重要性だった。
ハードとしてのインフラ
3/11の地震直後、電話が殆ど普通不通となった
東京方面への電話は「混み合っています」のメッセージ、自分のdocomo携帯はアクセス制限が掛かり、そもそも発信ができない状況。
都心では公衆電話に長蛇の列ができたらしい。
携帯キャリアのメールサーバにもかなりの負荷がかかり、殆ど届かなかったよう。
私事だが、moperaアカウントのアドレスに、2,3日遅れて親からのメールがまとめて7件届いたw(これはヒドイけれど。。)
そんな中、インターネットは滞り無く使えたようだ。
3G回線(携帯電話回線)でもパケット通信であれば問題なかったみたい。
普通にTwitterを見ることが出来た。
キャリアのメールでなくGmailだったら滞り無く通信出来たのだ。
電話回線ではなくskypeなら通話もスムーズに出来たらしい。
電波塔やデータセンターがやられたらアウトなので、震災被害がひどいところはそもそもつながらないだろうけどね。。
ソフトとしてのインフラ
地震直後から、Twitterの投稿が地震関連一色に染まった。
Twitterの持つ「リアルタイム性」という特長が最も発揮されるシーンでもある。
どれだけ広範囲でどれだけ異常なことが起こったかを物語っていた。
ときにそれは、テレビやWebでの公式発表よりも早く、情報を伝えてくれる。
重要な情報は、多くの人から何度もポストされて拡散していく。
非常に有用なツールとして今回活躍したはずだ(負の側面も勿論あるが後ほど)。
また、今回画期的だったのは、テレビ局各社が急遽、テレビの報道ををUstreamで配信してくれていたこと。
テレビ、ワンセグが見れない人にとって、これは重宝されたに違いない。
情報リテラシー
フレッシュな情報をいち早く得るためにインターネットを使える環境とスキルが重要になってくること。
それが上記までの話。いわゆるWebリテラシーだ。
しかし、それ必要条件であって十分条件ではない。
最も重要なのが、得た情報をどのように受け止めどのように伝えていくかという情報リテラシーだ。
震災直後から平時よりも本当に多くの「つぶやき」がポストされ、時に拡散し、時に消えていった。
様々な情報が流れ、様々な「思想」が流れていった。
とにかくフレッシュな情報を!と様々な情報を手当たり次第にRTする人。
緊急性の高い災害関連情報を緊張感をもって伝える人。
徒に危機感をあおってはいけない、と柔らかい表現をする人。
感情にストレートな投稿をする人。
祈りと感謝を唱える人。
お願いする人。
誹謗中傷する人。
それに対してコメントする人。
・・・etc
情報を取捨選択する重要性の議論は、何も今に始まったことではない。メディアや雑誌が本当に正しい情報を発しているのか、なんて問題は昔から度々問題になっている。
しかし、WEB2.0から誰もが自由にメディアとなって情報発信することができるようになり、さらにTwitterやFacebookでリアルタイム性と手軽さを備えた今日、玉石混交の真偽様々な情報の取捨選択能力、さらにその発信能力はかつて以上に重要に、かつ難しくなっているのは否定しがたい事実だ。
しかも(それなりに)情報提供が生業であるメディアと違い、(良くも悪くも)感情を載っけてくる情報が多い中で、如何に信憑性のある情報をすくい、正しい情報を伝えるか、自分の意見を持ち得るか、というのは重要な「スキル」だ。
影響度の程度はあれど、どこかで誰かが自分のポストを見ているわけだからね。
多くの人がメディアとして情報発信・拡散し、反応することができるようになったことで、Webの中にも民主主義が生まれた。
重要な情報は多くの人の手で何度も何度も拡散される。だから大抵の場合、大きく間違ってはいない。
それが間違っている情報である場合も、また訂正の情報が拡散されるという自浄作用とでも言うべき機能を備えている。
時に、一つのテーマにおいても賛否両論様々な意見が飛び交うし、正論もベキ論も感情論も屁理屈も言いがかりも交じる。
ウェブを使いこなす著名な学者だって、時に突拍子も無いことを言い出したりするのだ。
まぁ池田信夫氏はよく批判を受けてはいるけれど。
やはり、自分の発信する情報には一定の責任は必要だよね。。
出処を明示するとか、曖昧な場合はそう書くとかね。
だから、自分の身は自分で守らなくちゃいけないし、自分の発する情報で他の人にどういう影響を与えるかもある程度は考慮しなくちゃいけない。
(多くの場合、それは感情的な問題だけれども。)
ただ、それを他者に求めていても仕方がない。
モラルがどうこうと人に求める前に、そうした中を上手く渡っていくリテラシーを自分で持つことこそが大事なんだと、そう思った。
Web上の情報は、メディアが提供する画一的な情報じゃない。
著名人も一般の人も変わらずに生の声が聴けること、時に、直にコミュニケーションがとれること。
多くの人が関わった作り上げられていく情報だから有用性も高い。
玉石混交の様々な思想、意見、その混沌が面白い。
そして何より、Web上の民主主義、Webのオプティミズム(楽天主義)を信じているから。
やっぱ、オレがWebと付き合う上でベースになっているのは梅田望夫氏なんだよねー。
じゃ。
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