祭りを巡る四国の旅。でも最も印象的だったのは・・・

先日のエントリにも書きましたが、夏期休暇中に四国に行ってきました。
もう半月以上経ったんやね。早。。


さて、四国の旅ですが、主なルートは、
高知でよさこい→室戸をブラブラ→徳島で阿波踊り→高松近辺をブラブラしながら讃岐うどん巡り
と、こんな感じです。



地図で見てみるとこんな感じ。



愛媛には行かなかったけれど、三県の県庁所在地をまわって、うち二箇所で一年で最も熱い祭りの空気を肌で感じる。
普段なかなかできない充実した旅だったんじゃないかなぁと思います。
讃岐うどんも、思ってた以上に旨くてびっくりしました。
あぁ、これは確かにここでしか食べれんのかもしれんな、並んで食べるだけの価値はあるのかな、と。


ですが、最も印象に残ったのは今並べ立てたものではなく。
室戸だったんです。
なぜこんなにも強く印象に残っているかというと何もなかったからなんです。




室戸岬は高知の東の端、太平洋に突き出した、文字通り岬になっている部分です。
ここは日本地理に疎い僕でも名前くらいは知っている観光地。
見渡す限りの太平洋、足元にはマグマが地表に出てきて固まった岩が海岸にゴロゴロしていて、土地が隆起して岩を持ち上げ山を作っている、地球のダイナミズムを感じる場所です。弘法大師こと空海が修行し悟りを開いた場所としても有名(らしい)。この場所にくると、なるほど空海とはよく言ったもんだ、と合点がいくね。



でも、印象に残ったのはこの美しい自然ではない。




オレの日常はここじゃないな。
これは、インドに行った時にも感じたこと。
ここで日常の暮らしを送る人がいる。
でも、オレにとってのそれは、ここにはない、と。


もちろん、インドに行った時と同じ感覚ではないけれどね。
本当に、自分が生活してきた中でこれほどの田舎を、陸の孤島を、そこにある生活を知らなかったから。(少なくともそこで自分はそう感じたから。)



四国のJR路線図がある。
地図の右下、高知側の路線と徳島側の路線が切れているところがまさに室戸岬だ。


この高知側の最後の駅「奈半利(なはり)」から徳島側の最後の駅「甲浦(かんのうら)」の間の公共交通手段はバスのみ。
それも、大体1時間半〜2時間おきにしか出ていない、まさに陸の孤島
ついでに言うと鉄道との接続の悪さも未だ健在。(参考


コンビニはない。ヤマザキストアを見かけたのと、21時までの個人商店があったくらいだ。
タクシーの運ちゃんに「なんか町の中心部で美味しいもの食べれるお店にありますか」って聞いて「室戸市内」に連れてってもらったけど、そこも昔懐かしい商店街以下の賑わいだ。飲み食いできる店が数軒あるだけだ。


美しい自然はあるけど、エンタテイメントと呼べるものは見当たらない。
映画館もゲームセンターもカラオケもビリヤード場もボーリング場もない。デパートも商店街もない(スーパーがあるらしい)。
車でどれくらい行けばそういうところに着くのかは知らないが、「車社会」というものを肌で感じた。
遊びといえば、学校のグランドか海や川や山で釣りや虫取りをするくらいのものだろうか。


派手な産業もない。
ぱっと見、漁業と商店と飲食店くらいか。
あとは役場とか先生なんかの公務員かな。


町が狭いから。
コミュニティも狭い。


ここが、渋谷や新宿と同じ日本だなんて、同じ国民、同じ民族が生活しているところだって、にわかには信じがたいほどだった。




都会が、ようやっと高度経済成長期と言われた頃、きっと地方はどこもこんな感じだったのだろう。
若者が地元に閉塞感を感じ、都会に憧れたのがなんとなくわかる気がした。
この代わり映えしない田舎で粛々と一生を送ることに、恐怖や絶望を感じ、全力でその世界から飛び出したかったのだろうと。


自分は、都会に対する憧れも、都会に強く行きたいという願望も特になかった。
むしろ、都会よりも田舎の方が好きだと思っていたし向いているとも思っていた。
でも、何のめぐり合わせか、東京のど真ん中の大学に通うべく、長崎から上京した。
あれから7年余り、自分がこういう感情を抱いたことに若干の衝撃を受けた。
便利で刺激的で新しいものや情報が集まる大都会にすっかり抱き込まれているような、軽い失望を感じた。
田舎が好き、と思っていたオレがイメージしていた田舎ってなんだったのだろう。。


今と昔で、もちろん行動も考え方も感じ方も変わってきている。
なんたって、(一応)一昔前には殆ど世に出回ってなかったテクノロジを使って仕事をしているからね。
アナログ人間がデジタルな仕事をしてるんやからね。


やはり、自分の肌で感じなければわからないものが、少し足を伸ばせばそこかしこにある。
一番地味な僻地が、今回の旅で一番感性を鋭くし、感情を激しく転がしてくれた。


もっともっと、自分が知らない世界に行って、そこで自分が何を感じるのか、体感してみたい。






今回、敢えて写真を載せなかった。
なんか陳腐になる気がして。
イメージして、可能なら自分の目で見て感じてみてね。



じゃ。