大河ドラマ 平清盛

今年のNHK大河ドラマ平清盛』。
時々見逃してますが、見てますよー。思ったよりも悪くない。


でも、視聴率は芳しからず、なようですね。
平清盛』の何がウケてないのか、何が面白いのか、個人的な感想を元に徒然と書いてみます。


ウケないワケ

◆題材がそもそもイケてない
平清盛」と聞いて、あなたはどのようなイメージを持っているでしょうか。

平家一門の繁栄のみを考え、
自分の好き勝手に政治を行い、
日宋貿易を独占して私腹を肥やし、
「平家にあらずんば人にあらず」と言って驕り高ぶり、
終いには源氏に滅ぼされた日本史における悪役。

大体こんなイメージですよね。
これは教科書でこんな扱われ方をしているからです。
源氏がヒーロー、平家は悪役。(平氏とは言うけど源家と言わないのはなぜだろう。。)
おごる平家は久しからず。
調子に乗ってはダメですよー、謙虚に生きましょうね、と学校で教育するわけです。
反面教師でこそあれ、ヒーローではないんです。
ヒーローじゃないものが主人公では、皆ワクワクしないわけです。
この辺はNHKの挑戦的な取り組みで、僕は好きなんですが後ほど。


◆時代がそもそもイケてない
平安後期、あなたはどのようなイメージを持っているでしょうか。
ええ、ピンとこない人が大半だと思います。
地味なんですよね。
時代における大きな変化、事件が無いんです。
平安時代の平和な公家社会から、武士が政権を握る鎌倉時代への大きな変化はわかりやすく、ドラマチックな事件が起きますが、まぁ平安後期、地味です。
時代背景としては、武士の台頭、白河上皇院政開始により、徐々に武士が政治的勢力を拡大していく途上です。
保元の乱平治の乱という2つの大きな武力衝突を経て、武士が大きく力をつけます。
しかし、この2つの事件、どちらも朝廷の権力闘争と公家のお家騒動なんですよね。
まぁくだらないです。地味です。
よって、大河のストーリーが昼ドラ並みにドロドロになっていくわけです。
戦国時代や幕末は人気がありますよね(個人的にも幕末は好きです)。
ドラマに視聴者が求めるのは、ワクワクするような展開(歴史的変化)と、登場人物への共感だと思いますが、まぁ難しいですわね。

大河の魅力

こんな感じでこき下ろしてみましたが、では『平清盛』の魅力とは何でしょうか。

◆武士が力をつけていく過程
平清盛の父(ドラマ上は実父ではないという設定)、平忠盛武家の朝廷における地位を、これまでの歴史上最も高めた人物でした。
清盛はさらにそれを高め、政権を極めるまでに至ります。
その歴史的変化の過程で、清盛がどのように力をつけていったのか、どのような判断・行動をしたのかは、今回の大河の見所の一つですね。


◆面白きこともなき世を面白く
この詩を詠んだのは高杉晋作ですが、この思想が今回の大河の一つのテーマにもなっていると思います。
「わしは・・・、面白う行きたい!」
若き日の清盛は、自身の(武士としての)志を問われてこう答えます。
(歴史上は当然言ってないと考える方が自然です。)
朝廷の下らない政権・お家争いに巻き込まれていく武家、政が機能せず民にそのしわ寄せが行くことを眺めながら、より住みやすい世・より面白き世を作ることを志す清盛の生き方は、現代に通じるものかもしれません。
我々のイメージの中で「悪役」と位置づけられている清盛が人々の暮らしを変える為政者としてのし上がっていく過程、今回NHKはこのドラマの題材としてニッチな時代を選んだわけですが、長いものに取り入り、政治的野心に汲々とする公家・武家と対立する描写として、武家としての理想を語る平清盛源義朝はヒーローたり得る位置づけとなっていて、NHKの意欲的な取組みを個人的には評価したいですね。


◆それぞれの思惑と人物描写の妙、そして、その時歴史が動く
鳥羽院の独善的でありながらもおセンチで雅な感情の描写、崇徳院の痛切な野心、雅仁親王後白河天皇)の傍若無人で傾いた振舞いとその裏に潜むコンプレックス、政に携わる公家の謀略、武家それぞれの一門繁栄への思いと生き方への理想。
それぞれの立場でのそれぞれの思いが、大きな歴史の渦に呑まれながらどう行動を起こし、歴史を作っていくのか(NHKがどう表現するのか)、まぁ色々言ったけど、大河の魅力はこれに尽きますわね。



近衛帝の崩御、雅仁親王後白河天皇)の即位、そして間もなく鳥羽院崩御により、保元の乱へと向かいます。
いよいよ、時代が動き、平家がより力をつけていく時期。
地味で細かくてわかりにくい時代ですが、勉強しながら大河を楽しみましょう。



じゃ。